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TSDテキスタイルアドバイザー横井達也が「世界中から集めたスペシャルなテキスタイル」5つをレコメンド。そこに、服作りの現場を知る立場から意見をくれたのが、モデリスト・金子奈緒美さん。パタンナー歴13年の金子さんが、横井のレコメンドをどう料理するかに注目!
シルクビーバー
カシミヤビーバー
オパールベルベット・マーブルプリント
ラッセルレース
リバーレース
横井:
まずは、『
シルクビーバー
』です。
金子:
きれいな光沢がありますね!
横井:
そうですね。ビーバーと言えば、防寒用コートなどに使われるウール素材が多いのですが、これは絹紡糸を使っています。絹紡糸というのは、生糸のくずを集めて作ったもの。綿やウールと同じ短繊維ではあるけれど、デリケートな生地だけに起毛させているタイプはとても珍しいんです。
金子:
普通の工場での加工は無理でしょ?
横井:
日本で約9割のシェアを誇る毛布の産地にある工場へお願いしています。金子さんがおっしゃる通り、日本ではここでしかできないんですよ。だからこそ、繊細なシルクにこんなにきれいな起毛ができる。
金子:
(生地を引っ張って)伸縮性がないですね、タテもヨコも。これを扱うには縫製の技術が問われますね。
横井:
生地がよくなればなるほど、パターンも縫製も技術が必要になってきますよね。
金子:
袖部分を細かく縫ってアイロンで丸みをつける「いせ」を上手く入れるのが相当難しそう。伸縮があれば縫いやすいし、アイロンでギュッと押さえれば縮むんですけど、これは縮まらないと思いますね。あと、襟や裾などに貼る「芯地」も、アイロンで貼る接着芯だと、ウールビーバーでも「あたり」が出て、生地がテカってしまうこともあるから、シルクはさらに難しい。
横井:
でも、難しいからこそ、着ていく場所を選ぶような、特別感のある服を作ってほしい生地ですよね。今までは和装のストールに少量需要があったという程度だし。
金子:
そうですね。これだけ光沢があるから、フォーマルなジャケットがいいな。それにはもうちょっと勉強が必要ですが(笑)。
横井:
こちらはシルクビーバーよりはなじみのある『
カシミヤビーバー
』です。
金子:
どういった点ががスペシャルなんですか?
横井:
最高級とされる、内モンゴル・アラサン地方産のピュアカシミヤ100%。しかも、2段起毛で肌触りが最高!
金子:
本当だ! やわらかいですね。
横井:
この肌触りのよさは、2段起毛ならではなんです。まず起毛機で粗く起毛させてから、さらにアザミの実のトゲトゲを使って細かく起毛していく「アザミ起毛」をほどこしているんですよ。だからチクチク感がまったくない。
金子:
シルクビーバーよりはまだ扱いやすいかも。ただ、やわらかいぶんダレやすいですね。丈が長いものほど、縫い目が伸びてゆがんでしまうので、裾のラインがガタガタしやすい。上手な工場に頼む必要がある。
横井:
芯を貼るのも難しそうですね。
金子:
ダレやすいから芯を貼ってしっかりさせたいけれど、生地のもつ柔らかさが表現できなくなるともったいない。そのバランスが難しいでしょうね。
横井:
ナショナルブランドのコレクションでも使われているような生地。一生に一度はこういう生地で作ったコートを着てみたいね。
金子:
確かに(笑)。きちんと分量感がありつつも軽いコートやジャケットが、この生地には合うと思うなぁ。柔らかいから動きも出るしきれいなラインが出る。これこそ、工場と「いせ」の入れ方などを相談しながら作っていきたい生地ですね。
横井:
これは、TSDで開発中のオリジナルテクニックを使った『
オパールベルベット・マーブルプリント
』です。
金子:
へぇ。どういう技法を使ってるんですか?
横井:
まず、ベルベットに型紙を載せ、溶剤を流して生地を溶かし、凸凹感のあるデザインを作るオパール加工をします。その生地に、マーブル模様をプリントしているんです。マーブルプリントは、京都まで行って職人さんに手作業でやってもらいました。僕も挑戦してみたんですけど、3mくらいの水槽に油分を引いて顔料を流し込み、生地をゆっくり下ろしていってマーブル模様を写し取る。それを熱でベイキングして定着させるんですね。
金子:
図工の時間みたい(笑)。ただ、ベルベットって柔らかいから、縫い目が伸びてしまってダルダルになっちゃう。オパール加工した部分は、透けているから芯地を貼ると接着剤が染み出すかもしれない。だから裏地を中に一緒に縫いこんでしっかりさせたほうがいいかもしれないですね。スカートだったら細いベルトをつけたり、デザインで別素材を使って芯地代わりにする手もありそうだけど。
横井:
工場選びも難しい?
金子:
そうですね、これは上手な工場で縫ってもらわないと。しかも、ごくごくゆっくりとしか縫えません。ダーッと速く縫ってしまうと、ミシンの押さえ金は下側だけが動いているので、下の生地だけが向こう側に行ってしまって、きちんと縫えないんです。大量生産しているような工場では無理ですよね。でも、こんな風に一つひとつ表情が違うのも、手作業ならではの魅力ですよね。
横井:
ありがとうございます!
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