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2004‐2005年春夏と4シーズンに渡りレディス、メンズウェアを発表してきた【naught】。デザイナーの石井康久さんが、服飾の専門学校を卒業してわずか1年後に立ち上げたブランドだ。 「とにかく自分でやりたい、という気持ちがまずあったんです。企業で経験を積んでからブランドを立ち上げる人も多いです。経験を積む事は大切でしょうし、いきなり始める不安はありました。ただ、僕はやりたい事から始めました。卒業後の1年間は、資金作りをしつつ、工場での生産、生地や附属品の仕入れ方や流通、PRのノウハウをなど、ブランドを始めるために必要な情報集めに必死でした」 自身を「サブカル少年だった」と語る石井さん。音楽、映画、文学、そしてファッション。その他多くのアートやスポーツに触れ、心動かされる10代の日々が終わる頃、自分もなにかをつくる仕事、つくるもので自己表現する仕事がしたいと思ったという。「その時期に思い立ってミュージシャンやサッカー選手になるのはちょっと難しかったから(笑)。きっかけとなったのは、パリコレに初めて参加した年のラフ・シモンズ。洋服でも人に伝わるものがある、シンプルだけど彼の世界観が伝わってくる。そう感じたんです」 |
| 2006年春夏では、シャツ、Tシャツ、タンクトップ、パンツなど、レディス、メンズ合わせて約20型を発表。モノトーンとブルーを中心としたカラー展開が、シンプルなデザインをよりシャープに感じさせる。 「シャツは、袖口や襟裏など、あまり目に付かない部分ですが色を切り替えたりしています。両側から外せるボタンを使ったシャツなんかは、何通りもの着方がある。着る人が、着ていくうちにそうした何かにふと気づいていく、そういう服って素敵だと思うんですよね」 左半分だけ生地を2枚重ねにした天竺のTシャツは、重さを均等にできるように、重ねる側には薄い生地を使う。身頃脇の構造線の位置を90度、袖下の構造線の位置を180度回転させたTシャツは、デザインに意外性を発見するうえ、背幅を広げ腕の運動性を高める機能も併せ持つ。「人が着たときに、着心地がいいものがいいですよね。その観点からも、素材は基本的に綿、麻、シルク、ウールなどの天然素材またはその混紡が中心です。ボタンも貝、水牛、メタルにこだわりたい。天然繊維が放つ雰囲気が好きで、それはやはり似てつくったものとは違う。ただ、化繊もいいものがあれば使っていくだろうし。つくりたいと思ったものに化繊が必要なときが来たら、そのときは使おうと思っています」 |
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ブランド名の【naught】は英語で「ゼロ」「無価値」を意味する。 「本当はブランド名を付けたくなかったくらい(笑)。ブランド名が先行したり、言葉によってある価値観を提示することが嫌なんです。だから“なにもない”という意味のこのブランド名に決めた」 よく見なければネームが見えないような白地に白文字のブランドタグも、そんな想いの表れ。 「だからデザインコンセプトも公開しない。僕はデザイナーなんだからデザインで勝負すべきだと思うんです。言葉を付けないと、デザインから伝わってくるものがないなんて悲しい。だから今後も、極力言葉でのアウトプットはしないつもりです」 メンズ、レディスとも、10〜50代、いやそれ以上でも幅広い世代着こなせるシンプルなデザイン。一度買ったら、仮にしばらく着ない時期が訪れても、また年を重ねた自分に合わせてみたくなる。【naught】の服は、そんな予感をさせるデザインだ。2006 ‐ 2007年秋冬も、もう動き出している。「速いなぁと思う一方で、速いからつくれるんじゃないかな、と思うんです。僕のクリエーションにとってスピードは必要。焦燥感、疾走感こそがエネルギーになる。ものづくりに焦る、生きることに焦る…そんな気持ちをエネルギーに、表現者としてひとりよがりにならず、人が着る服、人の入ってくる余白のある服をつくり続けます」 |
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